ダイソン狂想曲

Img_07971拙宅にはタダ飯食らいのアシスタント猫が二人ほど居候しており、夜中ともなればどったんばったんの猫リンピックが始まるため、彼らの御身からはらはらと舞い落ちるコーティング、ありていに言えば猫の毛がフローリングに積もり積もっていくわけです。特に、日差しの強烈なこの時期は抜けた毛が陽光に反射して、フローリングを掃いたように浮かんで見えるほど。

そんな事情もあって、我が嫁はかねてより、毛むくじゃら族の住まう家庭を救うと評される、「ダイソン」のサイクロン掃除機が欲しい、欲しい、と切に訴えておりました。Img_07981

ちなみに、私はクイックルワイパーでこまめに拭き掃除をすれば充分に対応できるという立場であって、そもそも、「ダイソン」の値段を聞いて購入には二の足を踏んでおりました。

なにしろ、9万!!!とかします。学生時代から1万円以下の力の抜けた掃除機で事足りてきたトランスレーション猫としては、9万円はもはや掃除機の領域をゆうに越えております。このまえ購入したギターだって8万円くらいなのに。

しかし、「ダイソン」購入交渉は1年ほど淀みなく続いており、私としても、購入意欲を削ぐような発言や見解を嫁の脳内にせっせと刷り込んできてはいたのですが、ここにきてついに陥落。このチャレンジングプライスな掃除機をImg_07961購入しないかぎり、「ダイソン」というブランドに固執している嫁の欲求が満たされることはないと観念し、だったらもう買っちゃいな、と。

しかし、実際に使ってみて驚きました。不本意ながら、「ダイソン」の吸い込みパワーの実力を認めずにはいられません。とりわけ細かい塵芥などは、それはもうキレイさっぱりと吸引してくれます。

あとは吸い込んだゴミが透明のタンクに溜まっていくので、家が美しくなっていく様子を眼で見ながら掃除できるのも、まあ、楽しい。

そういうわけで嫁は大満足しているので、まあ、家庭の平和のためにも買ってよかったかな。

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ジムで思うこと

Img_0333翻訳という稼業はとにかく外に出ません。青空の下がもっとも似合わない職業のひとつでしょう。普段は家にこもってパソコンとにらめっこの毎日なので、運動不足にならないほうが難しいほど。

そういうわけで、避けられないメタボ化に少しでも抵抗するため、トランスレーション猫はいちおうジムに通っております……が、仕事が詰まってくると、どうしても足が遠のいてしまうんですよね。

で、久し振りにジムに行って思ったのですが、更衣室に掃除Img_0301のおばさんが「失礼しま~す」と入ってくるのは何故なんでしょうか。

風呂なしアパートを借りていて、銭湯通いをしていた時分にも同じことを思ったんですけど。

おばさんとはいえ仮にも女性。一定の年齢を超えると、男女の垣根は取り払われてしまうなんて法則が存在するんでしょうか。

しかも、凄いことに、このおばさんたちは、すっぽんぽんの野郎どもが徘徊している更衣室内でもまったく臆するところがなく、顔見知りの客とは挨拶まで交わしてしImg_0292まう始末。恥じらいなどという淡い感情はとうの昔に焼却処分してしまったのでしょうか。謎です。

これが逆の状況、つまり、女性の更衣室をパートのおじさんが掃除する構図は想定できません。変態じじい扱いされてブタ箱行きでしょう。

極論ですけど、完全なる男女平等なんてもんは机上の空論でしかないように思えてきますなあ。

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ギター弾きまくり

Img_0336なかば廃人と化しながら猛烈な勢いで働いていた6月がようやく終わると、気がつけば外はすっかり夏もよう。容赦ない陽光と、肌にまとわりつく湿気の季節がやってまいりました。

そんな季節の移り変わりとはまるで関係なく、ついにエレキギターを購入!

もともとギターは好きで、昔はそこそこ弾いていた時期もあったのですが、暇つぶしが稼業のような学生時代とはちがって、社会という枠のなかでは、時間は見つけないと作れない希少なものと変わるわけでして、ギターを弾く時間もぐっと少なくなり、最近ではほとんど仕事の合間にアコギを爪弾くていど……。07100001_2

そんななか、バンドでギターが欠員なんだけど、ちょっと弾いてみないかな~とお誘いを受けまして、いちおうビートルズ系の曲などがレパートリーに含まれているのでエレキギターがないと話にならないのであり、いささか奮発して購入したという次第。

しかし、定番の「時間がないから」を言い訳に数年間ギターをさぼっていたツケは甚大でした。最初は指ばかりが痛くなってほとんど弾けない始末でしたが、ちょうど仕Img_0345 事も途切れた時期だったので、ここぞとばかりに猛練習を重ね、まあ、格好はつくていどに弾けるようにはなってきました。

いや~ギターは面白いな~。なんで何年もほったらかしにしていたのか、まったく悔やんでも悔やみきれない。ちゃんと練習しておけばよかった。

仕事場が音楽室と化しつつあります。

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REC

出し抜けシネマ論⑩~もっと冷静になりましょう~

Rec『REC』を観ました。

最近流行り……かどうかはわかりませんが、ハンディカメラを使ったドキュメンタリータッチのホラー作品です。スペイン映画なのですが、本国では封切り時に失神者が続出したという、まあホラー映画にありがちな触れ込みに誘われて、過酷な仕事のスケジュールの合間に息抜きがてら近くのららぽーとまで足を伸ばしたのですが……

これが近年稀に見る失敗作!

ホラー映画に関しては評価が甘くなるという噂の私でも、この映画はちょっと酷いんじゃないかと言わざるを得ません。

まずもって音がでかすぎ! これって本当に監督が意図したこの映画本来の音量レベルなんでしょうか? 映画館の音響設備が音割れを起こすほどの爆音だったので、映写室のスタッフの手違いかと真剣に思いました。

そのうえ主人公のリポーターのお姉さんが興奮しやすいたちで、金属質なキンキン声できImg_0329ゃーきゃー喚くものですからたまったものではありません。ストーリーを楽しむまえにこのお姉さんの絶叫ショーで、始まって数十分後にノックアウト。私の感情メーターは飽和してしまい、それ以降どんなショッキングなシーンが出てこようが虚ろな心かつ醒めた目で淡々とスクリーンを眺めるのみ。

久しぶりに中座したいと思いました。

惹かれるアイデアは盛りだくさんなんですけど。密閉された古アパートという舞台設定なんて素敵ですし、暗闇を這いずりまわるImg_0340シーンも緊迫感があっておっかないと思いますよ。

しかし! やはりこの絶叫パーティには耐えられません。このせいで映画にすらなっておらず、ほとんど拷問に近い。

なんでこんなにうるさいんだろうと訝りながらなんとか完走しましたが、エンドロールで流れた楽曲を聴いて納得。図ったようにけたたましいだけのヘビィメタル。

うるさいのが好きなんですね、この監督さん。

評価:☆

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ジ・エンド

心を紡ぐうた③

And in the end

the love you take

is equal to the love you made

結局のところ

愛されるためには

それだけ愛さないとだめなんだよ

Photo史上最強のバンド、ビートルズ。

彼らについては雑誌や評論をはじめとして、学問のひとつとして多角的に研究した書物すら多数刊行されているので、いまさら何を語ってもすべて蛇足になってしまう感がある。なにしろ教科書にも載っているのだから。

ビートルズの音楽にジャンルの垣根は存在しない。がゆえ、ビートルズをロックという枠だけで語ろうとするのは愚かですらあるし、そもそも語り尽くせない。かといってフォークという枠だけでも捉えきれないし、ブルースっぽい曲もあるが純粋なブルースとはどこか趣が異なる。

結局のところ、ビートルズはビートルズでしかないのだ。Img_0335

そんな多彩で複雑な音楽的側面を持つビートルズだが、こと歌詞に関しては、拍子ぬけするほどシンプルだ。

とりわけ、赤盤時代の歌詞にはあの娘がどうしたとかこうしたとかいう、どこかの高校生がノートに落書きでもしてそうな初期衝動に満ちた詩が多く、圧倒的才能を感じさせるメロディやアレンジに比べるとやや見劣りがしてしまう。

もっとも、そうImg_0345した傾向はアルバムごとに改善されていき、とりわけ、ボブ・ディランに陶酔するようになったジョンの歌詞には鬱いだ心の内 側をえぐるようなものや、アバンギャルドな内容のものが増えていく。ジョージはインドへの想いを消え入るような繊細な声で歌い、ポールは曲を介して悲喜こもごものストーリーを紡いでみせる。リンゴは、どこまでいってもオクトパス・ガーデンだ。

冒頭のように歌われる“ジ・エンド”はそのタイトルどおり、ビートルズのラストアルバム『アビイ・ロード』の有終を飾るハードながらも美しい曲だ。

シンプルだが奥深い。簡単そうに見えて複雑。この詩からも、そんなビートルズの音楽哲学を感じ取ることができる。

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マーサ

心を紡ぐうた②

  How's your husband?

  And how's your kids?

  You know that I got married too.

  旦那はどうだい?

 子どもたちは?

 知ってるかな おれも結婚したんだよ

Photo_2酔いどれ詩人、トム・ウェイツ。

自分が初めてトムの歌に触れたのはたしか“ボーン・マシーン”だったと思う。得体の知れない男が吠えている異様なジャケットに惹かれて購入したのだが、くぐもった音を響かせる原始的なドラムの乱れ打ちに乗せて、もはやハスキーという概念を超えた、ただのノイズにしか聞こえない声が浮遊感たっぷりに絡んでくるという展開に、はっきりいって引いてしまったアルバムだ。

それがトラウマになってしばらく縁がなかったが、それから何年かして、きっかけは忘れたが、“クロージング・タイム”を購入した。

そして驚いた。トムがちゃんと歌っていて、ピアノを弾いていることに。メロディがあることImg_0302 に。“ボーン・マシーン”のトムとはまったく異なるトムがそこにいた。

兎にも角にも曲がいい。酔いどれ詩人と称されるだけあって歌詞もいい。トムの詩は共感を呼ぶという類のものではなく、街角でひっそりと繰り広げられる素朴なドラマを切り取った小粋な短編映画のような味わいがある。

“OL'55”では、ハイウェイを流れていくトラックのライトの眩しさを感じるし、冒頭のように歌われる“Martha”でも、昔の恋人に久し振りに電話をかけ、長距離だけどコストは気にしないでくれと告げる男の淋しげな姿が鮮やかに脳裏に浮かぶ。そうしたひとつひとつのモノクロのシーンが心に染み入ってくる。耳で聴き、目で聴くうた。

トム・ウェイツを聴くのに家のリビングで缶ビールは似合わない。寒くても雨が降っていても夜のベランダにそっと出て、水割りかロックを片手にしみじみと聴き入りたい。

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通報されるくらいに

心を紡ぐうた①

 あわてんなよ

 雨があがったからって

 いきなり晴れるわけもないさ

Photoシオンの詩はときに痛く、ときに優しく、ときに悲しい。あけっぴろげなその詩はシオンの生き様を映した鏡に他ならず、憂いを帯びただみ声によって運ばれるが、悲しいかな、使い捨てのポップソングに慣れ親しんだ多くの耳を素通りしてしまう。だが、幸運にもその声を掬い取ることができた耳には、これほどまで痛切に響いてくる詩はない。

『Sion Comes』はシオンのターニングポイントとなったアルバムだ。長年所属したテイチクから東芝に移籍しての第一弾ということもあって、かなり苦労して完成にこぎつけたようだが、結果的に、上質な曲が揃った極上のロックアルバムに仕上がった。ちなみにこの次の『Discharge』もよい。

で、『Sion Comes』のオープニングを颯爽と飾るのが“通報されるくらいに”だ。

その歌詞からはレコード会社が変わって心機一転、新しい時代に向かって突き進んでいくんだというシオンの強い決意がうかがえる。

長い雨があがっても、いきなり晴れることはない。まあ、あわてなくたってImg_0291いいさ。いずれ晴れるのだから。

苦しみ抜いて壁を越えたと感じたときほど、焦ってはいけない。そこまでいったらゆっくりと噛みしめるように歩いていけばいい。だんだんスピードを上げていけばいいんだ。

シオンにそう言われると、なんだかほっとする。

そして、シオンはこう結ぶ。

 ほら 通報されるくらいに

 ぶっとばすぜ

う~ん、痺れますなあ。

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