通報されるくらいに
心を紡ぐうた①
あわてんなよ
雨があがったからって
いきなり晴れるわけもないさ
シオンの詩はときに痛く、ときに優しく、ときに悲しい。あけっぴろげなその詩はシオンの生き様を映した鏡に他ならず、憂いを帯びただみ声によって運ばれるが、悲しいかな、使い捨てのポップソングに慣れ親しんだ多くの耳を素通りしてしまう。だが、幸運にもその声を掬い取ることができた耳には、これほどまで痛切に響いてくる詩はない。
『Sion Comes』はシオンのターニングポイントとなったアルバムだ。長年所属したテイチクから東芝に移籍しての第一弾ということもあって、かなり苦労して完成にこぎつけたようだが、結果的に、上質な曲が揃った極上のロックアルバムに仕上がった。ちなみにこの次の『Discharge』もよい。
で、『Sion Comes』のオープニングを颯爽と飾るのが“通報されるくらいに”だ。
その歌詞からはレコード会社が変わって心機一転、新しい時代に向かって突き進んでいくんだというシオンの強い決意がうかがえる。
長い雨があがっても、いきなり晴れることはない。まあ、あわてなくたって
いいさ。いずれ晴れるのだから。
苦しみ抜いて壁を越えたと感じたときほど、焦ってはいけない。そこまでいったらゆっくりと噛みしめるように歩いていけばいい。だんだんスピードを上げていけばいいんだ。
シオンにそう言われると、なんだかほっとする。
そして、シオンはこう結ぶ。
ほら 通報されるくらいに
ぶっとばすぜ
う~ん、痺れますなあ。
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