加藤一二三元名人が野良猫への餌やりで訴えられた件で、進展があった。
先の18日、東京地裁八王子支部で第1回口頭弁論が行われ、加藤一二三元名人は答弁書のみを提出して欠席したそうだ。
そのなかで加藤氏は「野良猫に餌をあげていることは認めるが、動物愛護の精神のもと無制限、無秩序に猫が増えることを防止している。なんら違法性はない」と主張。
これに対し原告側は「受けた精神的苦痛は計り知れない。和解もありうる
が、慰謝料なしという案はのめない。猫が敷地に入らないよう柵などを設置する費用もかかっている」と反論。
ということらしい。
前回も述べたが、はっきりいって私はこの裁判の勝敗に興味はない。
そんなことをする暇と金とエネルギーがあるなら、とにかくまず、今そこにいる野良猫たちをなんとかしてやりなさいよ、あんたら。それからニンゲンたちで好き勝手に喧嘩してください、飽きるまで。と考えている。
ただ、上述の口頭弁論の双方の言い分から、いくつか浮き彫りになってくることがある。
とりわけ違和感を感じるのは、原告側の「和解もありうるが、慰謝料なしという案はのめない」という主張。
これは翻訳すれば「金さえ払ってくれるなら、まあ、手を打ちましょうか」と宣しているに等しく、顧客たる原告団にこうした幼い発言を許してしまう担当弁護士ってどうなんでしょう。
思うに、彼らはかなり感情的になっている。そして、暴走しがちな彼らを弁護士が制御しきれないでいるのだ。
でなければ第一回目から「金をよこせ、金を」なんて身も蓋もない主張
に及ぶとはとうてい思えない。裁判が一種のアピールの場である以上、もっと被害者らしく振る舞って然るべきである。世間の同情を買うためにも。
だが彼らはそうした「法廷劇」の部分をすっ飛ばしてダイレクトに「金をよこせ」と訴えている。しかも、猫たちの今後についてはいっさい触れていないところがとても悲しい。
おそらく加藤氏はあきらめの心境にあるのだ。もはや言いたいことは言い尽くしたと感じており、それを改めて法廷で訴えるのはしょせん、これまで庭先で彼らと行ってきた議論の再現にすぎな
い。だったら、もう、私の言い分はこの答弁書にすべて書いてありますから、あとはもうそちらで煮るなり焼くなりしてください、と。
加藤氏はたぶん負ける。そして満額はありえないが、避妊手術や里親探しを行っていた事情が斟酌され、いくらかの慰謝料を払わされることになる。
が、元名人たる加藤氏は、勝負師の勘でもってその展開を読み切り、裁判をさっさと終わらせて猫たちを助けるほうに集中しようと腹を決めたのではなかろうか。
まあ、わかんないですけどね。なにしろ加藤一二三ですから。
とにかく、今そこにいる猫たちをなんとかしてください。
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